珈琲タイム

幻の時実新子集

ひょんなことから、超稀少本を手にしています。

1973年(昭和48)に出版された

「私版・短詩型文学全書 川柳篇・第3集

 時実新子集」(八幡船社)。

 

 

俳人・津久井理一が発行した短詩型文学全書の中の

「川柳部門」の1冊。

新書サイズで50ページほどの体裁は

本というよりシンプルな冊子に近い。
 

これまで新子展のショーケース越しに眺めたことはあったものの

実際に手に取って読むのは初めてです。

 

 産声の近くで神が嗤ったぞ

 母を捨てに石ころ道の乳母車

 菜の花のまっさかり死にたし

 

巻頭の3句から

いきなり飛ばしてますねえ。

章のタイトルも「日ざらし」と「雨ざらし」。

解題は河野春三。

 

句集『新子』以降の10年間の句帖より選られた231句は、

まさに『新子』以降の作品の経緯をみるうえでも

貴重な資料です。

なにか新しい気づきを得られたら

追ってまたご報告しますね。


新子花ごよみ #56

 

恋の体操も終わりの深呼吸  新子

 

 

 

本日10月10日は、かつて「体育の日」で祝日でした。

2000年からは第2月曜に移動しましたが

昭和人?としてはいまだ

旧体育の日としてのイメージが懐かしく残っています。

 

というわけで、今回は体操の一句をチョイスしました。

といっても、これもまた恋の句なんですけれどね。

 

恋も終わりに近づいて

まるでラジオ体操の最後のように

ふうっと深呼吸して息を整えて、

そしてさようなら。

 

ですが、ここへ落ち着くまでには

やはりラジオ体操の過程のごとく

激しく心拍数をあげる山場があったのでは、

などとも想像させる句です。

 

恋の終わりが詠まれつつ

どこかユーモラスで、

そして作者とともに

こちらもふうっと深呼吸ひとつ。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


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プロフィール


芳賀博子
「時実新子の川柳大学」元会員。
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より担当。
ゆに代表。
https://uni575.com

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