珈琲タイム

思いがけない再会 2

なんと。
またもや、吹田まどかさんの作品と出会ってしまいました!
「吹田(すいた)まどか」は安藤まどかさんが
伝説の一行詩誌「短詩」に参加していた頃のペンネーム。
その「短詩」を思わぬところで手にすることができたのは
今年5月25日更新の本コーナーでもご紹介したばかり。

今回の遭遇は、たまたまある川柳人よりお借りした一冊の詩集、
その名も『一行の青春』のページの中でした。



本書は「短詩」(1966年9月創刊ー1970年3月休刊)計43冊の
総集編ともいうべきアンソロジーで
主宰・山村祐氏により1978年(昭和53)に編まれています。

 20歳前後の詩人250名が結集していた詩誌「短詩」43冊より
 72名612篇の珠玉の作品を選出した。
 まさに青春の1行詩集である。

さて掲載の「吹田まどか」作品は16句。

  今日もマフラーの少女で沼を深くする
  ネクタイの径 駈けてゆく 白い兎
  魔性のリンゴは母さんがくれたのです
  結婚――銀杏並木は火事かもしれない
  あたしのなみだに縄梯子をください
  「おはようまどか」パパを疑っちゃえオウム
  破る約束 ポートワインで おやすみなさい
  おばさまのノド鳩が住んでいる 大ッきらい
  とても不安で遠いあなたのポケットに住む
  ゴンドラすごく揺れて 私これからなのすべて
  シャボンの匂い ママのミニチュアではないの
  雨の踊りの 猫踏んぢゃった 踏んぢゃった
  あじさいの息の根とめて「ママ 花束よ!」
  A子とB子 ああいちめんの馬のいななき
  雨から雨が降ってくる ちちははの骨の音など
  月曜日の音を創るネンドベラです――パパ

本書全作品の締めくくりに、山村祐氏のこんな言葉が置かれています。

  一行の詩 地に塔のごとし

新子花ごよみ #18


深い夜の髪に咲かせるかすみ草   新子




ん、かすみ草って夏の花だっけ?
と思われた方もいるかもしれません。
花束のメインとなる花の華やかな引き立て役として
花屋さんに一年中スタンバイ。
ですが花図鑑的にいうと春から夏にかけて咲き、
季語としても「春」の花。

ところが先日、7月7日が「かすみ草の日」だと初めて知りました。
かすみ草の産地である福島は会津のかすみ草生産者&研究会が10年前に制定、
「白い小花が咲く姿を、夜空に広がる天の川に見立てて」とのことだそうです。
ロマンチックですね。

ところがところが、同じくかすみ草の産地、熊本では
11月22日、いわゆる「いい夫婦の日」がかすみ草の日だそう。
この違いは、つまりきっとそれぞれの出荷時期に合わせているんでしょうが
いずれもかすみ草を恋や愛と結んでいるんですね。

さて掲句。
これはもうあざやかに恋の句と読みます。
深き夜にたゆたう髪の漆黒と清楚な花の白、
そのモノトーンがしかし
いっそう恋心の秘めたる激しさを思わせ
濃密な夜気ににじむそこはかとなきエロチシズム。


(『時実新子全句集』/大巧社)
 

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プロフィール


芳賀博子
「時実新子の川柳大学」元会員。
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より担当。
ゆに代表。
https://uni575.com

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