珈琲タイム

思いがけない再会

先週の5月17日、大阪で開催された
「現代川柳ヒストリア+川柳フリマ」というイベントに参加してきました。
こちらについては管理人の個人ブログでもふれているのですが、
主催「現代川柳ヒストリア」さんの
「句会ではない川柳の場を求めて」というキャッチフレーズのもと、
ジャンルを超えて短詩に興味のある人がさまざまに集い、盛況でした。

「雑誌で見る現代川柳史」と銘打たれた展示コーナーには
まさに現代川柳の歴史を刻む稀少な川柳誌の数々が並びます。

と、ここで思いがけないできごとが。

展示されていた山村祐主宰の一行詩誌「短詩」11号(1971年7月)に
なんと「吹田まどか」の作品が掲載されていたのです。
「吹田まどか」は安藤まどかさんのかつてのペンネーム。
「大阪の吹田に住んでたから吹田ってつけた」
と笑うご本人から当時のことを少し伺ったことはありますが
実際に雑誌を手に取るのは初めてです。



 疑い深い子です 神サマ 雨の道です
 四月のストーブ 母が誰かを 愛している
 雨の踊りの 猫踏んぢゃった 踏んぢゃった
 あじさいの息の根とめて「ママ 花束よ!」
 ジェラシーは五月にひらくパラソル買った
 A子とB子 ああいちめんの馬のいななき
 雨から雨が降ってくる ちちははの骨の音など
 石を写したネガから きようは美しいママ
 月曜日の男を創るネンドベラです――パパ
              (表記原文ママ)

なんとひりひりするほどの透明感。
ふれるとパキンと折れそうな
手を切ってしまいそうなほどの
硬質にして繊細な美しさを持つ作品は
まどかさんが23歳のときに発表されたもの。
しかし「吹田まどか」であった期間は
そう長くはありませんでした。

当日会場にいた川柳仲間とともに
まどかさんとの思わぬ再会を喜びながら
今またまどかさんに聞いてみたいことが
次々にあふれてきたのでした。
 

新子花ごよみ #16


私なりの愛に悔いなし母子草   新子





今日は母の日。
そして今回の花ごよみは写真の黄色い花、母子草です。
先日、奈良は斑鳩のれんげ畑に発見、
あ、と写メにおさめました。

母子草は春の七草にいう御形(ごぎょう)で
若い茎葉は食用。
かつては草餅にも用いられていたとか。

さて掲句、「私の」ではなく「私なりの」が
句をふっくらと血の通ったものにして、胸に沁みます。
世間様からみてどうであれ、
私なりの精いっぱいの愛。
ゆえに「悔いなし」と言い切りつつ、
その余韻は、読むたびに我が今と反応して
さまざまに味わいを変えます。
されど母子草の素朴な黄、
陽の匂い土の匂いのあたたかさ。
新子まだ29歳の作品なれば、母を想っての作品でしょうか。
でも子育て真っ盛りの母としての一心も重なります。

 母だから泣かない母だから泣く日   新子


(『時実新子全句集』/大巧社)
 

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プロフィール


芳賀博子
「時実新子の川柳大学」元会員。
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より担当。
ゆに代表。
https://uni575.com

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