珈琲タイム

僕なりの意見はあるけれど

今年は片付け元年。
という我が目標(野望)をいきなり頓挫させてはならぬと
資料、スクラップの整理に着手しました。
さくさく仕分け、だっと廃棄の気持ちよいこと。
が、ちょっと休憩のつもりで
お茶をのみながら、スクラップをなにげなく再読した途端、
あっと記事に引き込まれて作業はストップ。
あー、またもや同じ轍をふんでしまったーと後悔しきりながら
こういう時間がひそかに楽しかったりするんですよね。

ところでその記事とは昨春朝日新聞に掲載された美術史家・辻惟雄さんのインタビュー。
辻さんは、その著書によって、江戸の絵師・伊東若冲が
近年「奇想画家」として再評価され、さまざまに注目されるきっかけを作りましたが、
なぜ若冲ブームが起こったかについて、こんな風にも語っています。
「僕なりの意見はあるけれど、若い世代の見方を聞きたいですね。
 今は僕の見方が、一般化しちゃっているようなところがありますから」

このひと言に、改めてはっとしました。
作品に新たな見方を提示しつつ、
それもまたひとつの見方でしかないと。
さりげなくも作者、作品への深い敬意を感じる言葉です。

さて川柳もまた時代によって見方、読み方は、
とつらつら考えているうちに紅茶はすっかり冷めてしまって、
さて片付けの続き。
 

あの日から


平成七年一月十七日 裂ける    新子





阪神淡路大震災から20年。
神戸在住であった時実新子は、あの日をこう詠みました。

写真は今朝の神戸の太陽です。
自宅のベランダから撮りました。

ひとり祈り、ともに祈る1日です。

 

新子花ごよみ #12


水仙の匂い高くてねむられぬ    新子





今年最初の花ごよみ、
今年もどうぞよろしくお願いします。

さて水仙といえば芳香ゆえ、句意はいたって平明です。
けれど中七に注目。
「匂い強くて」や「香り高くて」ではなく
「匂い高くて」とは、さりげなく新鮮な表現であり
句の水仙を、より鮮やかに匂い立たせています。 

すっくと花の真っ直ぐな立ち姿よろしく気品、透明感のある匂い。
が、部屋の明かりを消すとふとニュアンスが変わったかもしれない。

ご存じ、水仙=ナルキッソスの名はギリシャ神話のナルキッソスが由来。
水面に映った自分の姿に恋して身を投じ、
水仙と化した美少年の妖しさなどもにじませて、
ねむれないのは、ただその匂いゆえか、なにゆえか。


(『時実新子全句集』/大巧社)

 

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プロフィール


芳賀博子
「時実新子の川柳大学」元会員。
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より担当。
ゆに代表。
https://uni575.com

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