珈琲タイム

最初のペンネーム

本サイトの前管理人である望月こりんさんが亡くなってちょうど2か月。
ご承知ように、こりんさんは「安藤まどか」の名で「時実新子の川柳大学」の元・発行人。
今月発行の柳誌や会誌に改めてまどかさんを惜しむ声が掲載されています。
現代川柳研究会発行の「現代川柳」第36号では追悼特集が組まれ、
ゆかりの方々の追悼文や、こりんさんとしての川柳作品を紹介。
墨作二郎さんが主宰する「現代川柳 点鐘の会」の「現代川柳 点鐘」第163号では
巻末の「雑唱点鬼簿(へんしゅうこうき)」に主宰自らがこんなコメントを寄せられていました。

 安藤まどかの死を耳にしたのは、その翌日長い闘病生活の果てであった。
 若い頃に何度か逢ったが、最後は十年前に東京で川柳公論の大会に
 選者として参加した時実新子に連れ立っての時だった。
 若い頃山村祐の「短詩」に吹田まどかの名で優れた作品参加があった。
 新子の死後「わが母時実新子」の一冊は、読み返して心に残るものがある。
 時実新子の有名の前に「まどか」の限りない働きを忘れてはならない。
 私なりに遠くなる思いのまま。

「吹田まどか」は、実はまどかさんの最初のペンネームです。
ご本人から伺ったところによれば
まどかは新子先生によるネーミングで、吹田は
「ああ、当時大阪の吹田(すいた)に住んでたから」とニッコリ。
「で、結婚して安藤になってね」

名前にまつわるエピソードは『わが母時実新子ー母からのラブレター』(2013年 実業之日本社)にも収載されています。
名前がつくった小さなものがたりの数々。
 

新子花ごよみ #2


菜の花の風はつめたし有夫恋   新子




有夫恋、ゆうふれん。
自身の造語をタイトルとした句集『有夫恋』は
1987年(昭和62)、朝日新聞社より発行され
川柳としては異例のベストセラーとなりました。
「おっとあるおんなのこい」
表紙のタイトルの横には小さくそう付記してあります。

ところで『時実新子全句集』には「有夫恋」を使った句が3句登場します。

 十七の花嫁なりし有夫恋
 桑の木の縛られいるは有夫恋

「十七の」は昭和34年、「菜の花」は昭和54年、「桑の木は」昭和63年の作。
その変遷を辿るのも興味深いのですが、
なかでも惹かれるのが今日の一句。
一面の菜の花につつまれて、ぽつねんと人を恋う。
その黄色のやわらかさ、純朴さ、風の冷たさ、頬の冷たさ。

今日は時実新子の命日、月の子忌。


(『時実新子全句集』/大巧社)
 

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プロフィール


芳賀博子
「時実新子の川柳大学」元会員。
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より担当。
ゆに代表。
https://uni575.com

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