珈琲タイム

家族

怪我をして、リハビリと診察に病院通いが続いている。
待合室ですることもなくボーッと動く人々を見ていたら、亡くな
った祖母・祖父・父・母にそっくりな人を見つけ、思わず立って
追いかけそうになる。
そんなはずないと思い直して、しばし思い出に耽る。
毎日バタバタしているので、こんな時間もあっていいなと思う。
  
 <親があり向こう岸にも灯がともる  新子>

衣替え

衣替えをしていたら、亡母関連の洋服がいろいろあって、暫し
思い出に浸ってしまった。
母は、殆ど神戸北野のブティックで買っていた。新作が入ると
お店のスタッフから電話が来て、ついつい出かけてしまい散財
しては後悔していたみたい。
お店では似合っていたのに、家に帰って着て見たら全然ダメで
そんなときはすぐに私に電話が来る。
「またやってしもた〜アンタやったら似合うと思うから着てくれる?」
私はそこのブランドは大好きなので、内心「なんぼでも失敗して」
と思いながら、まんまとおこぼれに与っていた。
後年は、直接私に「何処そこへ着て行く服を探して送って」という
注文が来て私は、東京中のデパートやブティックを駆けずり回って
調達して母に送った。母は、私からの服が届くとすぐにFAXで漫画
入りの感想を書いてきてくれた。それがとてもユニークで楽しい。

これはヨーガンレールのインナーを送ったとき。
横に――とにもかくにも痩せなあかんなア〜〜まるで女プロレスや。
ナミダが出た。――とメッセージが書いてある。そしてこの服は数日
後に私のものに。
今だから白状するけど、「母の服はアカン時は私が着られるもの」を
基準に選んでいた。おかげで私は全部着られないほどの衣装持ち。
お母さんゴメンネ!そしておおきに!

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プロフィール


芳賀博子
「時実新子の川柳大学」元会員。
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より担当。
ゆに代表。
https://uni575.com

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