珈琲タイム

マジックアワー

映画「ザ・マジックアワー」とは、業界用語で、映画を撮る時の
日没時のある瞬間の時間のことだという。
母が、数年前に夕刻の「群青色の空」のことをどこかに書いて
いたのを思い出し、この時間のことじゃないかと思った。
母が生きていたら、三谷幸喜監督と握手できたかもしれない。
映画の台詞では「マジックアワーが見られないときはどうするか」
「明日を待てばいい」とある。
その群青色をカメラに収めようと明日を待ってみたが、

コレしか取れない。

  流れつつ美しい日が稀にある  新子

手書き句

「俳句界」という雑誌をパラパラめくっていたら、母の手書き
特別作品なるものが掲載されていた(2004年11月号)。
30句、2004年の母の「今」の句がある。
書き下ろしエッセイもあって、
――アトランダムに書き抜いた30句の中で、私に甘え
   私も甘え、つまり一番好きなのが、
        平凡に歩きピカッとかっぱらい 
   なのだと言えば私を少しは理解し、ゆるしていただ
   けるのではないかと思ったりする。
   私ほども老いてくると、かっぱらいでもしないことには
   ピカらないのだということ。――
母の中で徐々に老いと向き合い、老いを認めていく様子が伺
える。

手書き句といえば、母は色紙をめったに書かない人だった。
頼んでも、きっぱり「私の色紙は高いの、だから書かないよ」と。
娘の私も色紙は一枚も持っていない。もし、持ってらっしゃる方
がいらしたら、貴重品ということに。
うちには、パーティの引き出物の小色紙があるだけだ。



上の写真は、母がグレーゾーンで悩んでいた頃、私のお気に入り
のポストカードを見せて、「ここに一句新子さんの句があればねぇ」
と言ったら、「書くもの持っておいで」とすんなり書いてくれた。
もう一枚恐る恐る出したら、それにも書いてくれた。
娘への最後のサービス、私には宝物となった。

お茶の水2

お茶の水〜神田界隈は、20年お勤めで通い慣れた街なので、
ギャラリーの帰り道、神田淡路町までぶらぶら足をのばした。
35歳から50歳を神田で、そのあと会社が秋葉原に移ったの
だが、神田は私の第二の青春時代と言っても過言ではない。
そういえば、私が勤めだしてすぐの頃、母が尾瀬からの帰りに
ウチに泊まるというので、神田の駅で待ち合わせをした。
その時の母のいでたちは、俗に言う「カニ族」。
リュックを背負い、登山杖(棒?)を握り、勇ましい格好で改札
から出てきた。娘の私は、「え〜っアレお母さん?」とびっくり!
が、背が低いので改札にリュックがひっかかりなかなか出て
来ない。駅員さんに助けてもらってやっとお目見え。
会うなり、母娘で大笑いだ。
この頃の母は、再婚相手と交際中。女性は、男の人によって
こうも変わるものかというそれまでの母から想像できない姿。
神田の改札を通るたびに、母のその時の格好と幸せそうな
顔が浮かんできて、私は一人でニヤニヤしていた。

いろんな思い出が詰まった街、神田。
『時実新子一萬句集』の打ち合わせもこの街で。
「博報堂」にも「時実新子をよろしくお願いします」と、挨拶回り
に行き、母が「ワタシ、こんなん嫌い」と渋い顔をしていたことも
懐かしい。

オマケに神田の思い出をもう一つ。
「フルーツパーラー万惣」のピーチジュースとホットケーキ。


ホットケーキは、蜜の代わりに生クリームのソースかけていた
だく。写真は、フルーツホットケーキを頼んで出てきたもの。


ピーチジュースは期間限定で今しかない!何年ぶりかな。
だけど、以前は氷は入ってなくて小さいグラスに絞りたての桃
が出てきたのに……。違うものになっていてちょっと残念!

個展(お茶の水1)



川柳大学のロゴマークや「月の子忌」の会報の表紙などを書いて
もらった井上リエさんの個展がお茶の水の「ギャラリーf分の1」で
あるというお知らせをもらったので、出かけてみた。
リエさんとはブログとメールとお手紙だけで、面識がなかったので
どんな方かとお会いするのがとても楽しみだった。
多才な方なので、気難しい方かもなどなど想像していたのだが、
すごく気さくな可愛い女性でますますファンになってしまった。
新子さんのポストカードをおみやげに持参したら、褒めていただき
生前の母にリエさんを紹介したかったなと思った。
一番気に入った絵は、すでに売約済み。残念だったけど、それに
匹敵するいい絵があったので、いただくことにした。
来年の「月の子忌三周忌」の会報の表紙はこれで決まり!
今年の会報の表紙を気に入ってくださった、元川柳大学会員さん
がリエさんのHPで、トートバッグを買ったくださったと嬉しそうに話
されていた。
 URL http://www.pagiru-studio.com もちろん「井上リエ」でも
検索OK。

 

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プロフィール


芳賀博子
「時実新子の川柳大学」元会員。
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より担当。
ゆに代表。
https://uni575.com

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