一昨日23日には、全国のトップをきって
高知でソメイヨシノが開花したとのこと。
いよいよ桜前線もスタートですね。
ところでこちらは、岡山は西大寺エリアの
「西大寺緑花公園緑の図書室」にある
時実新子コーナー。
著書や「川柳大学」がずらりと並び、
新たに「時実新子」や「川柳」と出会える
素敵なコーナーです。
2024年1月撮影
図書室は、西大寺緑花公園・百花プラザの2階にあり
周囲は、まさに広々と緑豊かな憩いのスポット。
また西大寺といえば
西大寺観音院界隈は桜の名所としても知られています。
お近くの方、またちょっと遠出して桜を楽しみたい方は
ぜひ、西大寺へもどうぞ。
]]>2007年に逝去して17年が経ちます。
今年1月、故郷岡山に建立された句碑は
2月29日付の山陽新聞でも取り上げられ、
新たに注目を集めています。
ところで先日、新潟在住の川柳の先輩から
「柳誌の整理をしてたら
新子さんのこんな記事が出てきてね」
とメールをいただきました。
それは「柳都」2007年5月号に掲載された、
主宰・大野風柳氏による時実新子への追悼文です。
タイトルは「時実新子が残したもの」。
一部を引きますと、
「柳都では川上三太郎賞の審査を二人で八年間つづけた。
後半には二人の意見がまとまらず、
電話で一時間以上も議論の結果、該当者なしの年もあった。
意見を曲げず妥協をしない彼女が好きだった。
選句には絶対自信を持ち、記名選の審査も喜んで引き受けてくれた。
同志を得た思いだった。
その選後評に次のことばを残している。
『川上三太郎賞には良妻賢母タイプや、
ベスト・ファーザー賞に輝くような句は似合わないと思う。
私は四十年前に三太郎先生と出会い、
末っ子弟子として十三年間学んだ。
何を学び盗んだかといえば「わが行く道」である。
三太郎を師と呼ぶ人はおそらくすべてがそうであろう。
師とは「てにおは」などをコチョコチョ教えるものではない。
その全人格で弟子に道を指し示せば足りると私は考える。
個性の発見、それに尽きる』と。
私も全く同感である。
師を選ぶことですべてが決まると思う。
いまはただ、ご冥福を祈るのみである。 合掌」(原文ママ)
「同志」大野風柳氏のあたたかな一文より
当時の時実新子のことばが
すっくと立ち上がり、まっすぐな声になって響きます。
]]>
元「川柳大学」編集委員の杉山昌善氏監修で
タイトルもずばり
『川柳入門 表現のコツ50 新装改訂版 楽しくもっと上達できる』
(メイツ出版 1,540円 税別)
本書は、2013年に刊行、二度の改訂版を経て
先般発行された「新装改訂版」。
「川柳に興味を持ち、作句に挑戦してみようという方へ向けて、
句を詠むうえでの基本的な事項を踏まえて紹介しています。
本文中には、たくさんのお手本となる句も掲載し、
川柳をつくると同時に鑑賞する醍醐味も
味わうことができます。」 (「はじめに」より)
ページを開けば、
川柳の歴史にはじまり、基本用語やルール、
詠み方や読み方、句会の参加や流れまでもが
とても楽しくわかりやく解説され、
初心の方はもちろん、きっとベテランの方にも
上達のヒントや気づきがたっぷりです。
まさに「これ一冊あれば」の川柳ガイド。
杉山氏は現在、現代川柳「かもめ舎」編集委員で
川柳作家として、さまざまなメディアで
川柳の魅力を発信中。
また脚本家としての顔もお持ちです。
生きんとや痛いところに花を置く 昌善
涙なんかどんどんビールで補充する
ポケットにアンモナイトの恨み節
本書では氏の人気句を味わえるのも嬉しく
ぜひ、お手元でどうぞ。
]]>ふるってご参加ください。
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神戸文学館 土曜サロン
【月の子忌 時実新子を読む 新子と月、私の月】
◆日時 2024年3月23日(土) 午後2時〜3時半
◆場所 神戸文学館
◆講師 妹尾凛、八上桐子(川柳人)
ゲスト 樋口由紀子(川柳人 『晴』編集発行人)
「時実新子を読む」シリーズは2016年より時実新子の忌日に、
新子の作品を年代順に味わってきました。
今年からは、新子の作品をモチーフごとにゲストを交えて鑑賞します。
第1回は、忌日の由来にもなった「月」の句を取り上げます。
ゲストに新子の初期の弟子である樋口由紀子さんをお迎えします。
また、参加者から要望の多かったミニ句会も開催します。
句会参加希望者は、兼題の「月」の句を1句、3月16日までにはがきか、メールで
神戸文学館までお送りください(必着)。
参加のみも大歓迎ですが、投句のみはご遠慮ください。
当日、会場で出す席題もあります。
定員50人 申込先着順 参加料:500円
◆申し込み・問い合わせ先 神戸文学館
くわしくはこちらから
時実新子の貴重な書簡が発見されたことをお伝えしました。
書簡は1984年、当時55歳の新子が
取材を受けた山陽新聞の記者に宛てて
補足として書き送ったもの。
その原本が、ただいま吉備路文学館で開催中の
特別展「吉備路が舞台の文学作品展」で初公開されています。
展示室へ入ると、
その中央に便箋20枚がずらり。
当時は、まだ句集『有夫恋』がベストセラーになり
大ブレイクする前ではありつつ、
メディアからも注目の高まっていた時期。
書簡には、あふれる故郷愛とともに
公私ともに「私はここから」という高揚感が
ひしと伝わってきます。
さて同展では、このたび建立された句碑に刻まれている文字の元となった、
新子肉筆の短冊(吉備路文学館所蔵)も展示されています。
他にも正宗白鳥や内田百?、坪田譲二、横溝正史などの
興味深い展示はじっくりと見ごたえたっぷり。
特別展は2024年2月25日(日)まで。
ぜひお立ち寄りください。
]]>時実新子の句碑除幕式のもようが
地元のテレビ局RSK山陽放送で放送されました。
こちらからもご覧いただけます。
]]>
そしてこのたび
故郷岡山の、まさに生誕地である吉井川河口に
句碑が建立され、
昨日、晴れやかに除幕式が開催されました。
残念ながら私は伺えなかったのですが、
先般、特別に許可をいただき
ひと足早く撮影させていただきました。
それがこちらです。
手に掬い手からこぼして吉井川 新子
背後には雄大な吉井川河口の風景が広がり、
まさに空と川、海が一体となる
素晴らしいロケーションです!
句碑は、岡山城東ライオンズクラブ様が
認証25周年の記念事業として
地域貢献のために建立されたもの。
また建立に際しては
岡山市東区上九蟠町内会、
時実新子句碑建立有志の会の皆様が尽力されました。
句は新子の肉筆で、
吉備路文学館に収蔵されている短冊の文字が
句碑に刻まれています。
句とともに刻まれている日付はまさに
令和六年一月二十三日
さて、当地上南は
「文学創造都市おかやま・文学のまち上南」として
ゆかりの文学者のさまざまな顕彰活動を予定されています。
この句碑が、そんな地元の方々の思いにも守られて
新子ファン、川柳ファンはもとより
広くたくさんの方々が
新たに川柳と出会うスポットになればと願います。
岡山へいらっしゃる折には、
ぜひ句碑へもお立ち寄りください。
]]>この雪を見ている人の眸を想う 新子
元日早々の能登半島地震、
被災された方々には心よりお見舞い申しあげます。
29年前の阪神・淡路大震災の際には
時実新子も神戸で被災。
作家活動の転機ともなりました。
ぽっと掲句が浮かびました。
発表されたのは、ずっとさかのぼって
1956年(昭和31)、新子27歳のときです。
雪を見ている眸、
また、その眸を想う眸もまた湖のように澄み、
「想う」深さを伝えます。
]]>
あけましておめでとうございます。
神戸の初日の出です。
皆様に幸多き一年となりますように。
はじまる、はじめる。
新しい一歩をここからも。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
]]>
さて今年の「時実新子」を振り返りますと、
『巻頭随筆 百年の百選』(文藝春秋編 文藝春秋)』や
『1日1篇「人生を成功に導く」365人の言葉』
(『PHP』編集部編 PHP研究所)
といった話題の書に、エッセー等が再録されたのをはじめ、
『小説新子』(小学館「P+D BOOKS」)の復刊、
また3月には故郷岡山にて
「おかやま文学フェスティバル2023」の一環として開催された
文学講座「川柳作家 時実新子の世界」、
さらに岡山では貴重な書簡が発見され、
吉備路文学館で展示(〜2024年2月25日)されるなど
まさに盛りだくさんでした。
さらに! その岡山で新たな顕彰活動も進んでいます。
詳細、またお伝えしていきますので
ぜひお楽しみに。
今年も当サイトにお付き合いいただき、ありがとうございます。
みなさま、どうぞ良いお年をお迎えください。
]]>
みなさま、メリークリスマス♪
さて、お知らせです。
ただいま当サイトの管理人・芳賀博子が代表を務める
ウェブの会「ゆに」では、新期会員を絶賛募集中!
ゆには、川柳を中心にことばの魅力を
すべてウェブで、オンラインで楽しむ会です。
会員になるとこんな特典があります。
・毎月新作川柳3句を「ゆに」のサイトで発表できる。
・毎月、会員限定のネット句会に参加できる。
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ほかにもお楽しみ、たくさん!
ウェブだから、全国どこからでも参加いただけます。
来たる新年、あなたも新しいスタイルで
新しい仲間とつながりませんか?
お申し込み締切は今年12月31日(日)まで。
半期に一度のご入会チャンス、ぜひお見逃しなく‼
]]>故郷愛をつづった貴重な書簡が発見され、
山陽新聞12月2日付の朝刊に掲載されました。
書簡は、1984年(昭和59)に取材を受けた
山陽新聞の記者に補足として書き送ったもの。
「書簡は直筆の便せん20枚。
新子の資料を収集する弟子で
山陽柳壇選者の芳賀博子さんからの
問い合わせをきっかけに、
当時取材を担当した男性の家族が自宅で発見した。」
そうなんです。
とあることをきっかけに、39年の時を経て
新子の「故郷愛」が今に甦りました。
エッセー等では、ただ懐かしいだけではなく、
複雑な思いで書かれることもあった故郷。
ですが書簡では、生まれ育った吉井川河口の当時の様子や
思い出が、手描きの絵まで添えて生き生きとつづられ
〈ほんとに私のふるさとはあの川にしかないのです〉
と語られています。
この書簡が、現在、岡山の吉備路文学館で開催中の
特別展「吉備路が舞台の文学作品展」で公開されています。
特別展は来年2月25日まで。
ぜひ、お立ち寄りください。
]]>先日、文化庁より「令和5年度地域文化功労者」が発表されました。
「全国各地において、芸術文化の振興、文化財の保護等、
地域文化の振興に功績のあった個人及び団体に対して、
その功績をたたえ文部科学大臣が表彰する。」
というもので、このほど
川柳で岩手県川柳連盟顧問の佐藤岳俊氏が受章されました。
氏の「功績概要」は
「永年にわたり、岩手県川柳連盟理事長等を務め、
地域文化の振興に貢献している。」
また佐藤岳俊氏は、
井上剣花坊にルーツを持つ柳誌「川柳人」の編集兼発行人。
時実新子や大野進とも交流深く、
「川柳人」では4年にもわたる「時実新子論」を連載されました。
今年は句集『アテルイの首』(新葉館出版)でも話題に。
レクイエムアテルイの首撫でてやる
鶴彬よまた戦争がやって来た
金婚の二人コスモスだけ揺れる
「地域文化」、そして川柳界を牽引し続けて、
「川柳人」最新号は972号です。
]]>99歳で逝去されました。
長きにわたり「川柳塔」の人気作家であり、
結社を超えて川柳人と交流を深め、
また川柳指導にも尽力されました。
こちらは氏の第一句集『椿守』です。
(葉文館出版 1999)
われは雁 月の真上を渡るなり
作品については、
拙ブログ「はがろぐ」(2023年11月9日更新)でも
ご紹介させていただきましたが、
ちょうど十年前、
八木千代さんについて書かせていただく機会があり、
その際にご自身からいろいろな資料を頂戴して、
今、改めてひもといているところです。
中には時実新子との交流を物語る、
こんな資料も。
たとえば1984年(昭和59)7月31日に
大阪の堺市で開催された
「第二回夜市川柳大会」の翌日、
有志で開催された二次会?の記録。
場所は河内天笑さんのご自宅です。
なんでも朝食後のあとに
「席題三つで作句時間を十五分に制限、出句無制限」というルールで
いきなりヨーイどん。
そのときのもようが
後年「川柳塔さかい」の会報に一部掲載され、
その会報を送ってくださったのでした。
ということで、以下は「笑い」という題での入選句。
「笑い」定金冬二選
泣きごとをこんなに溜めていた笑い 河内天笑
あしたから笑いのとれぬ漫才師 天根夢草
笑わさぬ時間を持っている落語 中尾藻介
よく笑う森の近くに住んでいる 門脇かずお
一生に一回笑う象使い 天根夢草
佳
今泣いたカラス笑わずまた泣いた 時実新子
引潮の沖から笑い声がする 八木千代
悪口をわかってくれたのか笑う 八木千代
軸
塩壺を落としてからは笑わない 定金冬二
資料には鉛筆で八木千代さんのこんな書き込みもありました。
「わたくしは新子さんと堺ホテル
夜通し話しました(ママ)」
]]>特別選者として参加させていただきました。
当日はぐっと冷え込み、あいにくの雨だったのですが
大会はまさに晴れやかに、
たくさんの方々とあたたかく刺激的な一日をご一緒し、
数多の佳句秀句と出会うことができました。
その前後で、青森市内と弘前をひと巡りし、
以前からぜひぜひ会いたかった犬に挨拶してきました。
それが
はい、こちらの「あおもり犬」です。
青森県出身の世界的アーチストである奈良美智さん作で
青森県立美術館のシンボル的存在である白い犬。
地下2階の吹き抜けに設置され、
まこと抱っこするにはちと大きい
高さ8.5m、幅6.5mもある巨大な彫刻作品です。
傘をさしながら足元をぐるぐる巡り
見あげてはゆったり眺め、
すっかり仲良くなりました。
美術館ではまさにその奈良美智展が開催中で
館まるごと、そのユニークでスパイシーで
あたたかい世界観に浸ってきました。
続いては大会翌日の岩木山。
「津軽富士」としても親しまれる山の美しさは
パシャとスマホで無造作に撮っただけでもこのとおりです。
そして、もう一つ。
こちらはちょっと思いがけなかったのですが
なにげなくのぞいた古書店で
青森の川柳作家・北野岸柳さんの句集と出会いました。
『男の紙芝居』(北の街社 1983年)
全国にファン多く、
地元ではメディアでもさまざまに活躍されましたが、
今年7月に惜しまれつつ世を去られた作家。
句集もなかなか手に入らなかったのですが
その岸柳さんのお膝元で、
こんな風に遭遇することができるとは。
やわらかい思想でよかった爪を切る
追いかけてくるから夜へ身構える
酔いざめて一人ひとりの風の色
紙人形ろんろん折れば冬折れる
淋しさをすとんと仕舞う尾てい骨
と、さまざまな出会いを得て
旅から帰ったばかりなのに
またすぐに次なる旅の空へ思いを馳せたりしています。
]]>