珈琲タイム

新子花ごよみ #50


晶子の涙わたしの涙何変わろ   新子

 

 

 

今年は与謝野晶子の生誕140年。

ただいま神奈川近代文学館では

特別展「生誕140年 与謝野晶子展 〜こよひ逢う人みなうつくしき」を

開催中です。

http://www.kanabun.or.jp/

 

さて晶子といえば新子。

さかのぼって約半世紀前、

句集『新子』を手にした国文学者・吉田精一はこう評しました。

 

 ひょっとすると、時実新子の句集『新子』は、

 与謝野晶子の『乱れ髪』のようなもった意義を

 川柳史の上に占めるかもしれない。

 

その後『有夫恋』が異例のベストセラーになり

大胆に情念を詠む作風から

「川柳界の与謝野晶子」と称されました。

没後10年以上を経てなお

メディアが新子を紹介する際にはこのフレーズが用いられ

今さらながらに新子登場時のインパクト、

また与謝野晶子のゆるぎない存在感を思います。

 

実際、新子自身も晶子の作品や生き方に

共鳴していたのでしょう。

他にもこんな作品を詠んでいます。

 

 晶子曼荼羅子らの寝顔に責められる

 愛ありて晶子に百首屏風あり

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #48


離婚前王手王手の詰将棋   新子

 

 

 

藤井聡太五段や羽生善治さんの国民栄誉賞受賞など

明るく華やかな話題が続く棋界です。

おりしもバレンタイン。

昨日のニュースによれば

「藤井聡太五段らにチョコレートを直接、

 手渡すのはやめてほしい」

なんて日本将棋連盟が異例のお願いを出したそうで。
 

ところで時実新子も将棋でこんな1句を詠んでいます。

いやもうこちらはバレンタインどころか

「離婚前」なんでありますが、

名人戦もかくやの息詰まる指し手に

思わず見入ってしまいます。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #47


犬走れ使いに走れ愛走れ   新子

 

 

 

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

戌年。そして平成30年。

来年に向けて、平成という時代の

カウントダウンが始まりました。

未来を見すえながら、来し方を振り返る

というと、ふとかつてのミレニアム・フィーバーが

よぎったりもします。

 

さても年頭、なんとも頼もしい犬に登場してもらいました。

みなさまにとって

愛にあふれた一年でありますように。

 

 

(句集『愛走れ』 時実新子/角川春樹事務所)


新子花ごよみ #46


山をうしろに海をうしろになおも歩く   新子

 

 

ダイナミックな一句です。

山に海に向かう、ではなく

「うしろに」として

景をいっそう鮮やかにしました。

その絵から、過去は振り向かず

ただ前をゆくという覚悟が感じられます。

下五が六音の破調であるのも力強し。

 

 

 

一転、こちらは

神戸の空を歩いているサンタ氏です。

ちょっと神妙な面持ちで

どこへ向かっているのでしょうか。

 

神戸では先週8日からルミナリエが始まり、

また今年は世界一のクリスマスツリーも

話題を集めています。

http://kobe-luminarie.jp/

http://www.soratree.jp/

 

あ、神戸へお出かけの際には

神戸文学館で開催中の新子展へもぜひどうぞ。

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #45


猫の絵を切り抜く音を立てないで  新子

 

 

あらあら、切り抜いた絵は、

みるみる毛並美しき猫になって

ご主人様の膝の上。

よしよしとひと撫ですれば

ミャーオと甘い声などたてて、

なんという妖しさ。

 

一方こんな句もあります。

 

 絵になってから白猫の息せわし

 

二次元三次元を自由に行き来できるのも

猫なればこそ?

 

さて、冒頭の絵は時実新子作です。

知る人ぞ知る「絵描き」の新子。

「川柳大学」誌85号から132号までの表紙絵は

自らが手がけました。

今日から始まる神戸の時実新子展では

その全号が並ぶとのこと。

新子の「軽妙洒脱な絵心」もぜひお楽しみに。

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #44


一族の秘密を守る琴の爪  新子

 

 

まるで横溝正史ミステリーの世界。

一族の秘密、そして琴の爪ですからね。

なにかコトの起きる前触れのように

妖しき空気に満ちています。

 

ところで実際に

時実新子は琴を弾いていたそうです。

ご長男の隆史さんのお話によれば

隆史さんが中学生の頃に趣味として始めたとか。

「それほど熱心に稽古してなかったような」

とのご記憶ですが、さて。

 

写真は過日、

姫路城すぐ西の好古園(こうこえん)で撮った1枚です。

好古園は姫路城を借景にした本格的な日本庭園で

その面積はなんと約1万坪。

時代劇や大河ドラマのロケ地にも使われているそうですよ。

池の鯉の多さ、大きさにびっくりでした。

http://himeji-machishin.jp/ryokka/kokoen/
 


新子花ごよみ #43


一日に一度は空を仰ぎたし  新子

 

 

そう、雑事に追われ

うつむいてばかりではいけないのでした。

一日に一度はしっかり顔上げて

空を仰ぎたし。

 

さて昨日、晴れやかな秋空のもと

時実新子展が始まりました。

その模様は次の記事で。


新子花ごよみ #42


平和うれしい恋に泣いたし子も生んだし  新子

 

 

 

平和うれしい。

とても短くてまっすぐなひと言が刺さります。

 

恋に泣いたし子も生んだし。

「泣いたし」のさりげないユーモアが心憎く、

「生んだし」の後には、はるばると広がる余韻。

 

数ある新子作品の中でも

私の好きなベスト10のひとつです。

平和のことをなにか思ったり考えようとするとき

いつもこの句が浮かびます。

きっとこれからもずっと。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #41


私がきらい私がきらいそんな日は   新子

 

 

そんな日はどうする、とも

どうしなさい、とも

書いてはいなくて。

 

だけど、ここにも

こんな風につぶやいている人がいると思うと

それだけでちょっとほっとする気がします。

口ずさめば、ふっと風が抜けていくかも。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #40


蛙ぴょこぴょこ告げ口は明日にして   新子

 

 

 

うちのカエルくん3兄弟です。

こんなところに出没したりもします。

 

 

こちら去年、広島は竹原川柳会創立60周年の記念大会で

参加者全員にいただいたもの。

会のみなさんの手作りなんですよ。

「無事カエルのお守りに、玄関にどうぞ」

というわけで、ふだんは我が家の下駄箱の上に

仲良く鎮座してくれています。

 

さて掲句。

たくさんの蛙の作品から、

くすっと笑える1句を選んでみました。

蛙ぴょこぴょこ、の早口ことばではないけれど

この句3回続けて唱えてみますとね。

いっそうくすくす楽しくなって

告げ口も、もういいかなって気になったりして。

1度試してみてください。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


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プロフィール


芳賀博子
元「時実新子の月刊川柳大学」会員
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より
担当
http://haga575.com

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