珈琲タイム

新子花ごよみ #61

 

平和うれしい恋に泣いたし子も生んだし  新子

 

 

 

近所の桜です。

歩いていたら、紋白蝶のつがいと遭遇しました。

今年初めてみる蝶に、思わず頬がゆるみます。

 

 

新元号が発表になり

平成もいよいよカウントダウン。

改めて掲句をかみしめています。

続く世の平和を祈りつつ。

 


新子花ごよみ #60

 

日は春にニュースはスポーツに移る  新子

 

 

窓の日差しがやわらかくなった。

ニュースは特段大きな事件なくスポーツへと移り、

野球のキャンプ情報など流している。

あ、春だなあと。

そんなおだやかな1句に、ほっと息をつきます。

 

今日は時実新子の命日。

仏教でいえば十三回忌になります。

コーヒーをこよなく愛した先生を偲びながら

今、ちょっとおいしいコーヒーを淹れました。

みなさんも一緒にいかがですか。

 

(「時実新子の川柳大学」123号 2006年3月)


新子花ごよみ #59

 

恋成就バンザイをさせるキューピー  新子

 

 

『キューピーにバンザイさせる。笑わないでね、

 とにかく今はバンザイなの。「手を上げて、

 手を上げないで足上げない」なんて、

 キューピーをいじめてうれしさ発散させる。」

 

と新子自身が添えた一文も楽しい

句集「恋 こんなにもゆれるぶらんこ」。

テーマ別に編まれた句集シリーズ、

Shinko's Heartful Selection の中の1冊です。

さてバレンタインも目前。

チョコを選ぶ前に開いてみるのはいかがでしょう。

恋をテーマにした選りすぐりの100句が

あなたの恋をドラマチックに応援してくれるかも。


新子花ごよみ #58

 

好きという茎まっすぐに伸びすぎる  新子

 

 

 

いいじゃないですか、ね。

まっすぐすくすくとまいりましょう。

好きの力、思うにまかせて存分に。

それでなくたって

今年は干支もいのしし、

猪突猛進まっしぐらの年ですもん、

なんてね。

 

さて、写真はわが家のイノシシくんです。

母の手作りでして、

今風に言うところの「おかんアート」ゆえか

どこかのほほんとしております。

が、走るときには走るぜい、らしいです。

 

管理人も、走るときには走るぜい、

と気合いを入れまして、初更新。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。


新子花ごよみ #57

 

こひびとよ菊の枕に訪ね来よ  新子

 

 

 

菊枕。

辞書の解説では

「干した菊の花びらを入れて作った枕。

 香りがよく、頭痛や目の病いなどに効能があるという。」

また

「邪気を払い、

 不老長寿を得ることが出来るとして珍重された」とも。

使ったことはないのですが、興味しんしん。

そして俳人・杉田久女のこんな句がよぎります。

 

 白妙の菊の枕をぬひ上げし  久女

 

女性俳句の先駆けであった久女が

師の高浜虚子の長寿を願って菊枕を贈った

世に知られるエピソード。

しかし後に久女は一方的に破門されてしまう。

 

そんな悲劇的な香りも漂わせる

晩秋の季語「菊枕」をモチーフに

新子は恋の川柳を詠みました。

 

さて「菊の枕に訪ね来よ」

とは、みなが寝静まったら逢いに来てほしい、なのか

夢の中への誘いなのか。

あるいはその両方でしょうか。

 

菊の芳香、「こひびと」の旧仮名遣いが

クラシックに官能的な

恋の一篇を思い描かせます。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)

 


新子花ごよみ #56

 

恋の体操も終わりの深呼吸  新子

 

 

 

本日10月10日は、かつて「体育の日」で祝日でした。

2000年からは第2月曜に移動しましたが

昭和人?としてはいまだ

旧体育の日としてのイメージが懐かしく残っています。

 

というわけで、今回は体操の一句をチョイスしました。

といっても、これもまた恋の句なんですけれどね。

 

恋も終わりに近づいて

まるでラジオ体操の最後のように

ふうっと深呼吸して息を整えて、

そしてさようなら。

 

ですが、ここへ落ち着くまでには

やはりラジオ体操の過程のごとく

激しく心拍数をあげる山場があったのでは、

などとも想像させる句です。

 

恋の終わりが詠まれつつ

どこかユーモラスで、

そして作者とともに

こちらもふうっと深呼吸ひとつ。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #55

 

風の駅まもなく電車が入ります  新子

 

 

 

大型台風に続き、北海道での地震。

被災された皆様に心よりお見舞い申しあげます。

 

今月は時実新子のお気に入りの句をお届けします。

いや、お気に入りかどうか、

直接ご本人に確かめたことはないのですが

雑誌やテレビ出演での自作紹介で

折にふれ挙げられていた句です。

 

いわゆる代表作として知られるような

情念ほとばしる句と比べると

ごくさりげなくてリズムも中八。

それでも、なにか深い思い入れあり

終生大切にされていた作品ではないかと思います。

 

句にいろんな景が浮かびます。

まもなく入る電車に乗るのは

作者か、あるいは。

 

季節の変わり目に、ふと口ずさみたくなる一句。

風の駅に吹くその風の趣も

味わうたびに異なるのですが、

今はやわらかに胸に沁み入り、

はやく穏やかな秋に落ち着くことを

祈るばかりです。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #54

 

夕涼み本を読む娘が一人居て  新子

 

 

 

 

記録的猛暑が続きます。

例年なら節電や省エネを訴えるメディアも

今年はこぞって

「躊躇なくエアコンをつけてください」

を連呼しています。

 

それでも、はや立秋を過ぎ、

ほんの少うし日も短くなってきました。

夕涼みにほっと息つける日が待たれますね。

 

さて掲句。

どこか懐かしい景です。

娘は一体なにを読んでいるのかしらん。

なんて娘をみやるまなざしもやわらかで

句からはふわっと打ち水のにおい。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #53


暑き日は暑き思いに膝を抱く  新子

 

 

 

 

この度の豪雨により被災された皆様に

心よりお見舞い申しあげます。


過日の大阪北部地震以来

大きな自然災害や異変が相次ぎ

各地の誰それの安否が気がかりです。

 

今後の猛暑の影響も懸念される中、

皆様どうぞ、くれぐれも、くれぐれも。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #52


G線上のアリアとすごすながい梅雨  新子

 

 

 

 

G線上のアリア。

バッハのゆっくりと厳かな調べに

雨音が重なり

作者の胸の底まで濡らしているよう。

 

ながながと、深く深く

なにかをあきらめさせるように

癒すように。

 

梅雨どきのもの思い。

あなたのBGMはさて

どんな曲でしょう。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


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プロフィール


芳賀博子
元「時実新子の月刊川柳大学」会員
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より
担当
http://haga575.com

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