珈琲タイム

新子花ごよみ #72

 

何だ何だと大きな月が昇りくる  新子

 

 

 

今週、7日から8日にかけてはスーパームーンが見られました。

大阪の友人から「お月さん、綺麗ですよ」とメールが届き

あ、そうだった!とべランダに出て、しばしお月見。

と、東京の友人からも「いい月だねー」のLINEが。

 

こんな風に、この夜は

月でつながった人たち、多かったみたいですね。

まさに緊急事態宣言が発令されるというタイミングでの

スーパームーン。

この月もまた歴史の記憶となるのでしょうか。

 

掲句は、ご存じ時実新子の代表作のひとつです。

スケール感に加え、

「何だ何だ」のリフレイン、

「大きな」の「おお」の母音で始まる長音も

ゆったりと大らかで

ぜひ音読も楽しんでいただきたい句です。


新子花ごよみ #71

 

また春が来る体内の水の音  新子

 

 

 

神戸は雨の「月の子忌」。

時実新子が世を去って13年が経ちました。

 

さて掲句。

「水の音」にみなさんはどんな水、どんな音を

想像されますか。

たとえば体内ではじまった雪解け。

その水がそそぎこむ川のせせらぎとか、

はたまた。

 

いろんなイメージの誘われる1句。

味わいながら自身の体内の水の音にも

耳を澄ませています。

 


新子花ごよみ #70

 

それぞれの役目に雛の指かたち  新子

 

 

 

新型コロナウイルスが猛威をふるい

一体いつになったら

おさまり、終息に向かうのか。

さらにインフルエンザも流行で

各地の小学校や幼稚園では

学級閉鎖も相次いでいるもよう。

それでもご近所さんの女の子は

幼稚園のお友だちと約束した雛まつりを

とっても楽しみにしている様子です。

その先の卒園式も。

さらにその先の入学式も。

 

はやく穏やかな日常が取り戻せるよう

祈るばかり。

とにかくみなさんも

ウイルス対策万全に、

どうぞご自愛ください。


新子花ごよみ #69

 

地図を見る 坂のある町椿の町  新子

 

 

 

 

さてこの町はどこでしょうね。

第1ヒント、坂のある町。

第2ヒント、椿の町。

そして誰を訪おうとしているのでしょうか。

初めて会う人。

あるいはとても懐かしい人かも。

 

いろんなストーリーを想像しつつ

そのいずれにも明るい日差しを感じるのは

「坂のある町椿の町」が

どこか郷愁を誘う

のどかな良き町に思えるから。

 

ともあれ主人公は

いくつかの電車を乗り継ぎ、

もしかしたら船にも乗って

はるばると会いにゆこうとしています。

地図を広げたときから

すでに旅は始まっていますね。


新子花ごよみ #68

 

神サマに聴かれてしまうひとりごと  新子

 

 

 

 

あ、やばっ。

と口を押えてももう遅い。

聴かれてしまったのは

やはり心深くの恋慕の情かしらん。

でも大丈夫、神サマは口がかたいから。

それどころか

その秘めた願いをかなえてくれるかも。

って、かなうと一体どんな事態になるのやら。


新子花ごよみ #67

 

娘からもらうやさしい秋ドレス  新子

 

 

 

 

センスが良くって母思いの娘が見立てた

お洒落なドレスが浮かびます。

色もさりげなく今シーズンのトレンドカラーだったり。

「お母さん、これ着てどこへ出かけようか」

 

心弱りを察してくれたのか、

娘からの、色合いも肌ざわりもやさしい一枚は

手にするだけで、自身もほっとやさしくなれる。

気持ちも久しぶりに外へ向いて。

 

「秋」の一語に、重ねきた歳月も

そこはかとなく感じられる

新子76歳のときの作品です。


新子花ごよみ #66

 

いっぽんの箸で秋刀魚を裏返す  新子

 

 

椛 もみじ 紅葉のブログ用無料画像素材|eha0112-049

 

いっぽんの箸で、

ひょいところがすように秋刀魚を裏返す。

そのいっぽんの、そのひょいに、

ちょいとやさぐれた気分が伺えます。

しかしながらこの秋刀魚、てらてらと脂がのって

なんともうまそう。

 

本作は1964年(昭和39)、新子35歳のときの句ですが

さて、前年にこんな句を発表しています。

 

 泣きやんだ母子 秋刀魚を裏返す

 

読みくらべてみると、「いっぽんの箸」の

句としての冴えを、より実感します。

自身の句を容赦なくどんどん塗り替えていくような

当時の書きっぷり、進化の過程もまた

興味深いです。


新子花ごよみ #65

 

かなしみは遠く遠くに桃をむく  新子

 

 

 

うぶ毛ちくちくの柔らかな桃を

手のひらに包み込むようにむく。

そっとやさしく、いたわるように。

甘く香りたち、滴る果実は

かなしみの恋ごころそのもののようです。

 

さて、本作。

実は先週8月3日、吉備路文学館での講演の際に

ご紹介した1句です。

それも虫食いクイズスタイルで(^^)

 

「時実新子の言葉たち」と題した講演、

おかげさまで定員を上回るご参加をいただき

嬉しくありがたいひとときとなりました。

当日はクイズや秘蔵映像を交えながら、

ご参加のみなさんとともに

時実新子の言葉の魅力、魔力について

ぐぐっと深堀りしました。

 

で、虫食いクイズ。

全5問出題したのですが、

よかったらあなたも挑戦してみませんか。

以下の句の中の

漢字1字を入れて新子句を完成させてくださいね。

たとえば,には「桃」。

では以下は?

 

,なしみは遠く遠くにをむく

∋儻の十年を凝視する

シャンと鳴れシャンシャンと鳴れの鈴

喰らうところ見られて離婚なり

ヌ襪やっぱりあの人に 決めた

 

はい。答えは一番下をご覧ください。

以下も全問正解の方には新子検定1級を進呈しましょう♪(^^)

ちなみに会場では3点が最高得点でした。

 

(解答 ‥蹇´∋亜´N つ魁´テ)


新子花ごよみ #64

 

青年の理想だまってハイボール   新子

 

 

 

ハイボール、というと

十年ほど前からのブーム再燃で

いまやすっかり大メジャー。

居酒屋では「とりあえずビール」ならぬ

とりあえずハイボールでカンパーイ!

なんてシーンもおなじみになりましたね。

 

シュワシュワとのどごしよく、

値段も安い庶民派のお酒は

昭和のひと頃にも人気だったそう。

ちなみに本作は昭和31年、新子27歳のときに

発表された句です。

 

理想高くも、ことごとく壁にぶち当たり

思い悩んでいる青年。

理想の先には自身の将来、

さらにはニッポンのあるべき姿も

そびえているのかもしれません。

ゴクリ、ゴクリと黙って飲むハイボール。

そんな青年をいたわるように、励ますように、

そしてちょっとまぶしいまなざしで

見つめている主人公。

それぞれのこれからに想像が広がります。

 


新子花ごよみ #63

 

断念の海の一点から朝日   新子

 

 

 

断念のはるか一点より昇りくる朝日。

再びまっさらの一日が始まろうとしています。

 

本作は、昨日から吉備路文学館でスタートした

時実新子展のポスター、チラシに掲載されている1句。

「川柳大学」130号(2006年10月)に発表された

新子77歳のときの作品です。

 


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プロフィール


芳賀博子
元「時実新子の月刊川柳大学」会員
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より
担当
http://haga575.com

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