珈琲タイム

新子花ごよみ #54

 

夕涼み本を読む娘が一人居て  新子

 

 

 

 

記録的猛暑が続きます。

例年なら節電や省エネを訴えるメディアも

今年はこぞって

「躊躇なくエアコンをつけてください」

を連呼しています。

 

それでも、はや立秋を過ぎ、

ほんの少うし日も短くなってきました。

夕涼みにほっと息つける日が待たれますね。

 

さて掲句。

どこか懐かしい景です。

娘は一体なにを読んでいるのかしらん。

なんて娘をみやるまなざしもやわらかで

句からはふわっと打ち水のにおい。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #53


暑き日は暑き思いに膝を抱く  新子

 

 

 

 

この度の豪雨により被災された皆様に

心よりお見舞い申しあげます。


過日の大阪北部地震以来

大きな自然災害や異変が相次ぎ

各地の誰それの安否が気がかりです。

 

今後の猛暑の影響も懸念される中、

皆様どうぞ、くれぐれも、くれぐれも。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #52


G線上のアリアとすごすながい梅雨  新子

 

 

 

 

G線上のアリア。

バッハのゆっくりと厳かな調べに

雨音が重なり

作者の胸の底まで濡らしているよう。

 

ながながと、深く深く

なにかをあきらめさせるように

癒すように。

 

梅雨どきのもの思い。

あなたのBGMはさて

どんな曲でしょう。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #51


季節の恋人で苺は愛される  新子

 

 

 

スーパーや青果店の店頭は苺、苺。

まさに旬ですね。

ですがクリスマスシーズンもずらっと並ぶので

苺の旬は冬、と思っている人も少なくないそう。

 

個人的には幼稚園のときに行った苺狩りが苺の原体験。

だから苺といえば五月で、

もうン十年も前で記憶もおぼろながら、

手で摘んだ感触や

初夏の光や土っぽいにおいがフラッシュバックします。

 

さて掲句の苺もとびきりのみずみずしさ。

主人公は季節の恋人とちょっとしたアバンチュールなど

楽しんでいるのでしょうか。

甘く酸っぱく、あくまでも爽やかに。

そしてさりげなくスリリングに。

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #50


晶子の涙わたしの涙何変わろ   新子

 

 

 

今年は与謝野晶子の生誕140年。

ただいま神奈川近代文学館では

特別展「生誕140年 与謝野晶子展 〜こよひ逢う人みなうつくしき」を

開催中です。

http://www.kanabun.or.jp/

 

さて晶子といえば新子。

さかのぼって約半世紀前、

句集『新子』を手にした国文学者・吉田精一はこう評しました。

 

 ひょっとすると、時実新子の句集『新子』は、

 与謝野晶子の『乱れ髪』のようなもった意義を

 川柳史の上に占めるかもしれない。

 

その後『有夫恋』が異例のベストセラーになり

大胆に情念を詠む作風から

「川柳界の与謝野晶子」と称されました。

没後10年以上を経てなお

メディアが新子を紹介する際にはこのフレーズが用いられ

今さらながらに新子登場時のインパクト、

また与謝野晶子のゆるぎない存在感を思います。

 

実際、新子自身も晶子の作品や生き方に

共鳴していたのでしょう。

他にもこんな作品を詠んでいます。

 

 晶子曼荼羅子らの寝顔に責められる

 愛ありて晶子に百首屏風あり

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #49


桜しんと 男と女あるばかり   新子

 

 

 

今日は時実新子の命日。

没後11年になります。

 

ふとご夫君、曽我六郎さんの

こんなつぶやきを思い出しました。

「新子は言うんだ。

 結局のところ、人生は男と女だって」

 

川柳大学の編集長でもあった曽我氏。

まさに博覧強記で座談の名手。

編集室のコーヒータイムでも

大いに楽しませてくださいましたが

ある日スタッフに

「あんたたちに一番大切なものって何?」

え?

「ぼくは・・自由、だね」

 

人生は男と女だとする妻。

自由こそ一番という夫。

愛と自由は矛盾だらけの不即不離か、なんて。

 

写真は今週、大阪造幣局で撮った一枚です。

通り抜けはまだまだ先ですが

一番桜はもう咲いていました。

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #48


離婚前王手王手の詰将棋   新子

 

 

 

藤井聡太五段や羽生善治さんの国民栄誉賞受賞など

明るく華やかな話題が続く棋界です。

おりしもバレンタイン。

昨日のニュースによれば

「藤井聡太五段らにチョコレートを直接、

 手渡すのはやめてほしい」

なんて日本将棋連盟が異例のお願いを出したそうで。
 

ところで時実新子も将棋でこんな1句を詠んでいます。

いやもうこちらはバレンタインどころか

「離婚前」なんでありますが、

名人戦もかくやの息詰まる指し手に

思わず見入ってしまいます。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #47


犬走れ使いに走れ愛走れ   新子

 

 

 

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

戌年。そして平成30年。

来年に向けて、平成という時代の

カウントダウンが始まりました。

未来を見すえながら、来し方を振り返る

というと、ふとかつてのミレニアム・フィーバーが

よぎったりもします。

 

さても年頭、なんとも頼もしい犬に登場してもらいました。

みなさまにとって

愛にあふれた一年でありますように。

 

 

(句集『愛走れ』 時実新子/角川春樹事務所)


新子花ごよみ #46


山をうしろに海をうしろになおも歩く   新子

 

 

ダイナミックな一句です。

山に海に向かう、ではなく

「うしろに」として

景をいっそう鮮やかにしました。

その絵から、過去は振り向かず

ただ前をゆくという覚悟が感じられます。

下五が六音の破調であるのも力強し。

 

 

 

一転、こちらは

神戸の空を歩いているサンタ氏です。

ちょっと神妙な面持ちで

どこへ向かっているのでしょうか。

 

神戸では先週8日からルミナリエが始まり、

また今年は世界一のクリスマスツリーも

話題を集めています。

http://kobe-luminarie.jp/

http://www.soratree.jp/

 

あ、神戸へお出かけの際には

神戸文学館で開催中の新子展へもぜひどうぞ。

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #45


猫の絵を切り抜く音を立てないで  新子

 

 

あらあら、切り抜いた絵は、

みるみる毛並美しき猫になって

ご主人様の膝の上。

よしよしとひと撫ですれば

ミャーオと甘い声などたてて、

なんという妖しさ。

 

一方こんな句もあります。

 

 絵になってから白猫の息せわし

 

二次元三次元を自由に行き来できるのも

猫なればこそ?

 

さて、冒頭の絵は時実新子作です。

知る人ぞ知る「絵描き」の新子。

「川柳大学」誌85号から132号までの表紙絵は

自らが手がけました。

今日から始まる神戸の時実新子展では

その全号が並ぶとのこと。

新子の「軽妙洒脱な絵心」もぜひお楽しみに。

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


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プロフィール


芳賀博子
元「時実新子の月刊川柳大学」会員
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より
担当
http://haga575.com

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