珈琲タイム

新子花ごよみ #44


一族の秘密を守る琴の爪  新子

 

 

まるで横溝正史ミステリーの世界。

一族の秘密、そして琴の爪ですからね。

なにかコトの起きる前触れのように

妖しき空気に満ちています。

 

ところで実際に

時実新子は琴を弾いていたそうです。

ご長男の隆史さんのお話によれば

隆史さんが中学生の頃に趣味として始めたとか。

「それほど熱心に稽古してなかったような」

とのご記憶ですが、さて。

 

写真は過日、

姫路城すぐ西の好古園(こうこえん)で撮った1枚です。

好古園は姫路城を借景にした本格的な日本庭園で

その面積はなんと約1万坪。

時代劇や大河ドラマのロケ地にも使われているそうですよ。

池の鯉の多さ、大きさにびっくりでした。

http://himeji-machishin.jp/ryokka/kokoen/
 


新子花ごよみ #43


一日に一度は空を仰ぎたし  新子

 

 

そう、雑事に追われ

うつむいてばかりではいけないのでした。

一日に一度はしっかり顔上げて

空を仰ぎたし。

 

さて昨日、晴れやかな秋空のもと

時実新子展が始まりました。

その模様は次の記事で。


新子花ごよみ #42


平和うれしい恋に泣いたし子も生んだし  新子

 

 

 

平和うれしい。

とても短くてまっすぐなひと言が刺さります。

 

恋に泣いたし子も生んだし。

「泣いたし」のさりげないユーモアが心憎く、

「生んだし」の後には、はるばると広がる余韻。

 

数ある新子作品の中でも

私の好きなベスト10のひとつです。

平和のことをなにか思ったり考えようとするとき

いつもこの句が浮かびます。

きっとこれからもずっと。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #41


私がきらい私がきらいそんな日は   新子

 

 

そんな日はどうする、とも

どうしなさい、とも

書いてはいなくて。

 

だけど、ここにも

こんな風につぶやいている人がいると思うと

それだけでちょっとほっとする気がします。

口ずさめば、ふっと風が抜けていくかも。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #40


蛙ぴょこぴょこ告げ口は明日にして   新子

 

 

 

うちのカエルくん3兄弟です。

こんなところに出没したりもします。

 

 

こちら去年、広島は竹原川柳会創立60周年の記念大会で

参加者全員にいただいたもの。

会のみなさんの手作りなんですよ。

「無事カエルのお守りに、玄関にどうぞ」

というわけで、ふだんは我が家の下駄箱の上に

仲良く鎮座してくれています。

 

さて掲句。

たくさんの蛙の作品から、

くすっと笑える1句を選んでみました。

蛙ぴょこぴょこ、の早口ことばではないけれど

この句3回続けて唱えてみますとね。

いっそうくすくす楽しくなって

告げ口も、もういいかなって気になったりして。

1度試してみてください。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #39


ああ恋は果つ一粒のアーモンド  新子

 

 

 

こちらアーモンドの木です。

先日実家の庭で撮ってきました。

まだ樹齢5年ほどながら

なかなかのたわわぶり?

 

そして今日はアーモンドの句なのですが

おっと、残念ながら恋果つる句でした。。

それも「ああ」の慨嘆で始まるという。。

しかしながら、カリッと1粒のアーモンドの香ばしさ。

もう胸の内ではケリはついているような。

 

ところで。

全句集には「恋は果つ」を詠み込んだ句が

もう2句収載されており、

3句いずれも1967年に発表されています。

 

 口中に果実の匂い恋は果つ

 わが髪は双手にあまり恋は果つ

 

同じ「恋は果つ」でありながら

アーモンド、果実、髪と取り合わせるものによって

恋のドラマががらりと違う。

3句並べてみると、まるで恋の短編集のよう。

時実新子33歳の作品です。

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #38


入学の桜はよろし万と咲け  新子

 

 

 

ご入学のみなさん、

ご家族のみなさん、

おめでとうごさいます。

今年は桜の開花が遅めだったので

各地、桜に祝福されての入学式でしょうか。

 

さて、生涯桜の句をたくさん詠んだ時実新子ですが

本作はいっとうまっすぐで大らかです。

万と咲け。

桜への、そして新1年生への

てらいなきひとことが

まぶしく力強いです。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新子花ごよみ #37


あけぼのや無知たることは美しや  新子

 

 

 

今日は時実新子の命日。

世を去って十年の歳月が流れました。

 

主宰する「川柳大学」136号(2007年4月号)に

最後の20句が発表されています。

タイトルも「出発」。

ここに作品を引き、

みなさんとともに味わいながら

偲びたいと思います。

ときどき窓に広がる空なども

見上げたりしながら。

 

「出発」

 

小鳥が鳴いたような気がして南窓

言われなくても神様私酔ってます

まっすぐという道は無し手毬唄

午後の裏木戸の耳穴集音器

お手拭きで拭う生命線二本

猫がいる柱のかげにじっといる

煙突が泣いて土曜のドン消える

いろいろと欲はあるもの北の窓

子が二人どうにかなって五七五

仰向いた蟬じじと泣く鳩日和

毛穴から汗午後四時の鳩の空

くうと鳴き火傷が赤い鳩の足

一度で駄目で二度でなお駄目鳩の恋

吸う息も吐く息も五七五五七五

子に泣かれそれもお題の五七五

チョコぱきと折りては恋しまた恋し

おじさまと呼んで川柳からっぺた

茜色黄色へ 川柳元年へ

こうやって繋がっていくカアカアと

あけぼのや無知たることは美しや

 

 

(「月刊 川柳大学」136号/川柳大学 2007年4月)


新子花ごよみ #36


ころころころび雪が降ったら雪だるま  新子

 

 

 

ころころ、ころころと

まあよくころぶこの人生。

 

おまけに雪も降ってきて、

ならば、ころころ雪だるま。

 

あら、かわいい目鼻をつけてくれたのは

どこのどなたさん?

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)

 


新子花ごよみ #35


視野の端いつも夢食む鳥が居て   新子



 

鳥は小さな分身でしょうか。

日々のあれこれに取り紛れつつも

視野の端にはいつも夢食む鳥が

つつい、つついと遊んでいる。

いつか大きな空へはばたく日を夢みて。

 

すると

「いや、ボクはまったく違う風に読んだな」

と、ある柳友はいいました。

「その鳥は作者のなけなしの夢すら

ついばんでいるんじゃないかな。

つまり夢をみることすら許されない

つらい状況を詠んだのでは?」

 

さてどちらでしょうね。

読みによって思い描かれる鳥の姿も

ずいぶん違ってきますね。

私の中ではたとえばこんなルリビタキ。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


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プロフィール


芳賀博子
元「時実新子の月刊川柳大学」会員
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より
担当
http://haga575.com

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