珈琲タイム

幻の時実新子集

ひょんなことから、超稀少本を手にしています。

1973年(昭和48)に出版された

「私版・短詩型文学全書 川柳篇・第3集

 時実新子集」(八幡船社)。

 

 

俳人・津久井理一が発行した短詩型文学全書の中の

「川柳部門」の1冊。

新書サイズで50ページほどの体裁は

本というよりシンプルな冊子に近い。
 

これまで新子展のショーケース越しに眺めたことはあったものの

実際に手に取って読むのは初めてです。

 

 産声の近くで神が嗤ったぞ

 母を捨てに石ころ道の乳母車

 菜の花のまっさかり死にたし

 

巻頭の3句から

いきなり飛ばしてますねえ。

章のタイトルも「日ざらし」と「雨ざらし」。

解題は河野春三。

 

句集『新子』以降の10年間の句帖より選られた231句は、

まさに『新子』以降の作品の経緯をみるうえでも

貴重な資料です。

なにか新しい気づきを得られたら

追ってまたご報告しますね。


美しいラストパス

大阪北部地震から1週間。

連日続報が伝えられるなか、

サッカーワールドカップでの

サムライジャパンの活躍が日本を沸かせています。

 

ところで時さかのぼって2002年。

日韓開催のワールドカップの折、

「川柳大学」ではこんな特集が組まれていました。

タイトルもずばり「サッカーWカップを詠む」です。

 

 

掲載句を少しご紹介しましょう。

 

 トルシエと同じリズムで噛んだガム  清水和子 

 ベッカムのグラビア抱いて美容院   渡辺 梢

 神様もオロオロしてるロスタイム   鑓田郁夫

 

懐かしいですね。トルシエ監督のあのたたずまいや

ベッカムのソフトモヒカン。

それからそう、「ロスタイム」という言葉も

いつから「アディショナルタイム」になったんでしたっけ。

 

 ほどほどの愛国心でサポーター    原口美智江

 サッカーの影に隠れている事件    高田和代

 

はっとして、クールな詠みぶりにうなります。

そしてこんな句にどきり。

 

 愛していると美しいラストパス   重森恒雄

 

ラストパスが見事にキマッた一句です。

 

さて2018年のワールドカップ。

日を追うごとにますます熱を帯び、

川柳子のペンがどうとらえていくかにも注目です。


パソコンとは、AIとは

先日、神戸新聞の朝刊1面コラムに

こんな記事が掲載されました(2018年4月15日付)。

時実新子も登場しています♪

 

 

 


わくわく川柳ワークショップ

 

こちら実家のアーモンドの花。

もう、ちょっと散りかけで

神戸では桜が咲き始めました。

 

ところで過日、

俳人・朝倉晴美さんが立ち上げられた勉強会

「雲雀丘サロン」にお声をかけていただき

川柳のワークショップを開催しました。

その名も「わくわく川柳ワークショップ」です。

講師のパートナーは川柳仲間の小原由佳さん。

和室の会場で俳人と川柳人、膝詰めで?、

虫食い川柳や、出句無制限の印象吟を楽しみました。

 

印象吟のお題は、雑踏に鯰出現のユニークな絵。

「え、これ見て作るんですか」

「印象吟なんてはじめてで」

と、ちょっぴり不安げな方々も

ゴングが鳴るや、カリカリスルスルーと

鉛筆が走る走る。

 

  あの空からやってきたんだ大鯰  栄子

  信号の黄の点滅に飛花落花    早苗

  この髭を引けば世界がまた動く  ゆず

  

書くほどに得られる解放感とカタルシスに

「これハマるなあ・・!」

なんてコメントを真に受けて

さっそく次なる企画を画策中です。


野郎ぶったくり

 

 

2月20日、俳人 金子兜太さん逝去。

メディアでも大きく報じられました。

「俳句界に新風を吹き込み、

 90歳を過ぎても現役で活躍し続けた

 現代俳句協会名誉会長」。

そして若い頃から川柳にも親しまれ、

時実新子ともゆかり深い方でした。

 

そう、「川柳大学」創刊号(1996年2月)にも

いきなりご登場なんですよ。

新子の対談企画「こんにちは新子です」の

第1回ゲストが金子兜太さんでした。

その対談にこんなくだりがあります。

 

 兜太 それよりも、もっと時実さんの

    “野郎ぶったくり”の話をしましょう。

    その方が面白い(笑)。

 

 新子 その“野郎ぶったくり”って何ですか、先生。

 

 兜太 関東の方言ですかね。

    バサッとやる。

    じくじくじめじめしないでスカッとやる。

    多少下品かも知れんが小気味のいい言葉ですよ。

    ペーソスもあるしね。

 

 新子 じゃあ先生のお作の

    〈長城足下養蜂家族がいるわいるわ〉や

    〈木曽のなあ木曽の炭馬並び糞(ま)る〉

    などもその部類ですかしら。面白い。

 

翌日にNHKのBS俳句大会の

スタジオ選者をひかえたお二人の対談。

場所は東京クレストンホテルのレストラン。

ともに注文は「紫蘇とトマトのスパ」。

 

 兜太 ぼくは人間が好きで俳句へ入った。

    時実さんは川柳へ行った。

    それだけのことでね。

    本質は同じですよ。

 

記事の冒頭にはツーショットが掲載され

兜太さん76歳、新子66歳の

やわらかい笑顔が並んでいます。

ちなみにカメラマンは安藤まどかさん。

 

 新子 今日はどうもありがとうございました。

 

 兜太 こちらこそ楽しい時間をありがとうござんした。

    まどかさん、写真ごくろうさんでした。

    写っておればよろしいからね。

    ハッハッハ。おやすみなさい。

 

お目にかかったこともないのに

豪快な笑い声が聞こえてきそうです。

 

  白梅や老子無心の旅に住む   兜太  


70年、110年、300年

川柳誌各誌の新年号。

巻頭言にはそれぞれ今年の抱負が語られています。

 

昨年に引き続き、

今年大きな節目を迎える柳社がいくつか。

たとえば新潟の「柳都」は創刊70年。

主幹の大野風柳さんは20歳で柳都川柳社を創設、

以来70年を走り続け、先日90歳になられました。

大阪では「番傘川柳本社創立110年」。

こちらは磯野いさむ名誉主幹100歳のお祝いも兼ねて

秋に全国川柳大会が開催されます。

 

と、昨日届いた神戸発の「現代川柳」1月号。

こちらはご存じ、元「川柳大学」編集長の

故・曽我六郎氏が立ち上げられ

今年創刊10年を迎えるとのこと。

 

そして今年は柄井川柳生誕300年の年でもあります。

さまざまな歴史が交差しながら

その先端の「今」にいる私たち。

さあ、どんな川柳を書きましょうか。


あなたがいるから、わたしも光る

平昌オリンピックまでいよいよあとひと月。

連日、各競技の代表選手が発表され

応援ムードもヒートアップしていますね。

 

ところでちょっとさかのぼって。

昨年12月27日付の神戸新聞朝刊1面に

こんなコラムが掲載されました。

書き出しに新子句が引かれています。

 

 

 川柳作家、時実新子さんを代表する句に

 <君は日の子われは月の子顔上げよ>

 がある。太陽のごときあなたがいて、

 わたしは月のように美しく輝く―

 燃えるような恋心をうたっているのだが、

 時としてこの句は切磋琢磨でお互いを

 高め合うライバル関係にも当てはまる気がする。

 あなたがいるから、わたしも光る。

 この場合はどちらも太陽であり月でもあろう。

 

そしてフィギュアスケート女子の代表を競った

坂本花織選手と三原舞依選手を紹介。

2人は同じ神戸出身で、

「かけがえのない親友で、ライバルだという」。

 

決戦の全日本選手権。

管理人もテレビ観戦してました。

五輪代表には坂本選手が選ばれましたが、

三原選手も大健闘。

ほんと、2人の切磋琢磨はまだまだこれから

どんなドラマを紡いでいくのか。

 

さて冒頭の新子句を受けて

コラムはこうエールを送ります。

 

 坂本さんの今季のショートプログラムは

 ベートーベンの「月光」だった。

 銀盤を月のように美しく照らして

 ―と大舞台が輝く君を待っている。

 


伏見稲荷吟行

 

先日、伏見稲荷で吟行イベントを開催しました。

NHK文化センター主催、

題して「伏見稲荷で川柳に挑戦! 

 〜パワースポットで言葉力を磨く」。

 

川柳初体験の方、ベテランの方も一緒に

まずは1時間ほど境内を散策。

かの千本鳥居や随所の狐、

おもかる石にきつね絵馬など

ここならではの句材をメモします。

相変らず外国人観光客で大にぎわいで、

一体神様は何か国語の願いを

お聞き届けなんでしょうか。

 

さてその後は徒歩で句会場へ移動。

会場はこのたび一般初公開となる稀少建築の洋館町家です。

昭和レトロな雰囲気の中で

句作の後は抹茶&和菓子を楽しみました。

こちら、ご参加のFさんが撮ってくださった1枚です。

 

 

 煎餅をかじる音まで神がかる    樹

 決意するおもかる石を持ちあげる  秋の子

 美しきスキンヘッドといなり寿司  由紀子

 幸せに近いところのきつね顔    由佳

 黒揚羽世の吉凶を問うがごと    雅之

 

句会ではこんな作品に点が入り、

初心のおひとり曰く

「いざ会場で句箋を前にすると、

 思っていた言葉が

 どんどん変化しておもしろかった」

そう、それが座の力なんですよ。

いや、パワースポットの力?

 

終了時はまだ外も明るく、

さらに界隈をひと巡りされた方もいらしたとか。

「今度は稲荷山のてっぺんまで行ってみたいです」

 

 ちっぽけちっぽけ

  みんな尻尾で振り払う   博子

 


大胆、痛快「わたくし」発

関西はあちらこちらで桜が満開となりました。

週末はちょっとお天気くずれそうですが

なんとか持ちこたえてほしいところ。

 

ところで3月31日付の山陽新聞で

こんな記事が掲載されました。

 “川柳界の与謝野晶子” 時実新子没後10年

と題し、どどーんとカラーの大特集。

見出しもずばり

  大胆、痛快「わたくし発」

 

 

丹念な取材で「新子川柳の魅力」が多面的に紹介され、

なかでも川柳家・森中惠美子さんへのインタビューでは

「盟友」ならではの言葉が光ります。

ちょっと引用させていただくと

 

  結社番傘で腕を磨いた私と、

  川柳界の異端児だった新子さん。

  作風も歩んだ道も異なるものの、

  「わたくし」を詠むという点で一致していました。

 

  新子さんの独自の句と生き方は、

  多くの反発を招きました。

  けれど、彼女ほど女性の裸の心をうたった人はいない。

      川柳に命を懸けた時実新子。

  懐かしく思い出されます。

 


激突の余韻

 

 

今月は2つの短詩型イベントに参加しました。

 

◆1つめは10月10日に大阪上本町のたかつガーデンで開催された

「短詩型文学の集い―連句への誘い」。

こちらは「浪速の芭蕉祭」の関連行事として実施されたもので

詳細はプロデュースされた小池正博さんがご自身のブログでも

レポートされています。

http://daenizumi.blogspot.jp/

 

午後の部から参加し、小池さんよる「雑俳と付合文芸」のお話、

続いて俳人・四ツ谷龍さんと小池さんの対談を拝聴。

対談は小池さんが聞き手というスタンスで

四ツ谷さんの最新句集の作品や背景のことから、

俳句活動、句集作りの話にも及び、四ツ谷さんの

「句集は1ページ何句立てかするかによって読まれ方が違う」

といった視点も、はっと新鮮でした。

 

◆2つめは一昨日23日に伊丹市立図書館「ことば蔵」で開催された

船団フォーラム「激突する!五七五 俳句VS川柳」です。

こちらは第1部のディスカッションの川柳人パネリストとして

先の小池正博さんとともに参戦!?、

第2部の句会ライブでは川柳部門の選者を務めました。

 

来場者全員参加の句会ライブでは

俳人が川柳を作り、川柳人が俳句を作るという試み。

たった10分の作句時間、

「え−っ、俳句(川柳)作るの初めて」の声も聞かれる中、

一同を唸らせる秀句や新発想の句が生まれ

会場が大いに沸きました。

 

第3部は船団代表・坪内稔典さんと川柳塔編集長の木本朱夏による対談。

テーマは「俳句と川柳−近くて遠い仲」。

 

さてディスカッションや対談の内容については

また船団誌上等で公開されることと思いますが、

ともあれ俳人と川柳人の、ありそうでなかった交流イベント。

イベント終了後は、参加された方々がまっすぐ帰るにはテンションおさまらず?、

会場近くのカフェや居酒屋で大いに議論に花を咲かせたという情報も。

 

それはなによりうれしいこと。

そして私自身が、2日経った今も激突の余韻に浸るというより、

いまだ頭の中で「!」や「?」が

ぽっぽと駆け巡っています。

 


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プロフィール


芳賀博子
元「時実新子の月刊川柳大学」会員
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より
担当
http://haga575.com

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