珈琲タイム

新子花ごよみ #57

 

こひびとよ菊の枕に訪ね来よ  新子

 

 

 

菊枕。

辞書の解説では

「干した菊の花びらを入れて作った枕。

 香りがよく、頭痛や目の病いなどに効能があるという。」

また

「邪気を払い、

 不老長寿を得ることが出来るとして珍重された」とも。

使ったことはないのですが、興味しんしん。

そして俳人・杉田久女のこんな句がよぎります。

 

 白妙の菊の枕をぬひ上げし  久女

 

女性俳句の先駆けであった久女が

師の高浜虚子の長寿を願って菊枕を贈った

世に知られるエピソード。

しかし後に久女は一方的に破門されてしまう。

 

そんな悲劇的な香りも漂わせる

晩秋の季語「菊枕」をモチーフに

新子は恋の川柳を詠みました。

 

さて「菊の枕に訪ね来よ」

とは、みなが寝静まったら逢いに来てほしい、なのか

夢の中への誘いなのか。

あるいはその両方でしょうか。

 

菊の芳香、「こひびと」の旧仮名遣いが

クラシックに官能的な

恋の一篇を思い描かせます。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)

 


幻の時実新子集

ひょんなことから、超稀少本を手にしています。

1973年(昭和48)に出版された

「私版・短詩型文学全書 川柳篇・第3集

 時実新子集」(八幡船社)。

 

 

俳人・津久井理一が発行した短詩型文学全書の中の

「川柳部門」の1冊。

新書サイズで50ページほどの体裁は

本というよりシンプルな冊子に近い。
 

これまで新子展のショーケース越しに眺めたことはあったものの

実際に手に取って読むのは初めてです。

 

 産声の近くで神が嗤ったぞ

 母を捨てに石ころ道の乳母車

 菜の花のまっさかり死にたし

 

巻頭の3句から

いきなり飛ばしてますねえ。

章のタイトルも「日ざらし」と「雨ざらし」。

解題は河野春三。

 

句集『新子』以降の10年間の句帖より選られた231句は、

まさに『新子』以降の作品の経緯をみるうえでも

貴重な資料です。

なにか新しい気づきを得られたら

追ってまたご報告しますね。


新子花ごよみ #56

 

恋の体操も終わりの深呼吸  新子

 

 

 

本日10月10日は、かつて「体育の日」で祝日でした。

2000年からは第2月曜に移動しましたが

昭和人?としてはいまだ

旧体育の日としてのイメージが懐かしく残っています。

 

というわけで、今回は体操の一句をチョイスしました。

といっても、これもまた恋の句なんですけれどね。

 

恋も終わりに近づいて

まるでラジオ体操の最後のように

ふうっと深呼吸して息を整えて、

そしてさようなら。

 

ですが、ここへ落ち着くまでには

やはりラジオ体操の過程のごとく

激しく心拍数をあげる山場があったのでは、

などとも想像させる句です。

 

恋の終わりが詠まれつつ

どこかユーモラスで、

そして作者とともに

こちらもふうっと深呼吸ひとつ。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


新句集、刊行!

ジャジャーン!

と私事恐縮ですが、このたび管理人・芳賀博子が

第2句集を上梓いたしました。

15年ぶりの新句集です。

タイトルは『髷を切る』(青磁社)。

 

 

 春暮れる消える魔球を投げあって

 私も土を被せたひとりです

 一点の噓 数式が完成す

 ひきちぎるためにつないでいる言葉

 いいよって乗っけてくれたトンボの背

 ニホンオオカミの末裔にてネイル

 あ、録画するのを忘れてた戦争

 

濱崎実幸さんによる装幀もウリです♪

ご注文は最寄りの書店やネット書店へどうぞ、ぜひ。

 

※追記 Amazonでのお求めはこちら

 


新子花ごよみ #55

 

風の駅まもなく電車が入ります  新子

 

 

 

大型台風に続き、北海道での地震。

被災された皆様に心よりお見舞い申しあげます。

 

今月は時実新子のお気に入りの句をお届けします。

いや、お気に入りかどうか、

直接ご本人に確かめたことはないのですが

雑誌やテレビ出演での自作紹介で

折にふれ挙げられていた句です。

 

いわゆる代表作として知られるような

情念ほとばしる句と比べると

ごくさりげなくてリズムも中八。

それでも、なにか深い思い入れあり

終生大切にされていた作品ではないかと思います。

 

句にいろんな景が浮かびます。

まもなく入る電車に乗るのは

作者か、あるいは。

 

季節の変わり目に、ふと口ずさみたくなる一句。

風の駅に吹くその風の趣も

味わうたびに異なるのですが、

今はやわらかに胸に沁み入り、

はやく穏やかな秋に落ち着くことを

祈るばかりです。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


平和美術展@福島

元・川柳大学会員の吉田利秋さんの川柳活動が

先月20日、琉球新報で紹介されました。

 

「川柳素材に平和訴え

  沖縄美術展 兵庫の吉田さん出品」

 

 

 ガム幾万吐き捨てられて沖縄よ  新子

 

本作をパネルに水性ペンキで書き、

那覇市で開催された沖縄平和美術展に出品。

「時実先生は10年前に亡くなったが、句は生きている。

 今でも通じる内容だ」

 

また、ご自身の句も兵庫や広島、大阪、東京と

各地の平和美術展に出品されています。

 

 

ユーモアあふれる作風が魅力の吉田さん。

一方で平和を訴える活動にも積極的に参加、

その経験から得た気づきや思いも

率直に川柳に詠み続けておられます。

 

来週より開催される福島平和美術展にも出品されています。

お近くの方はぜひどうぞ。

 

第21回 ふくしま平和美術展◆

 2018年8月29日(水)〜9月2日(日)

 午前10時〜午後6時(最終日は午後3時30分)

 郡山駅前 ビッグアイ6F 市民プラザ展示室

 入場無料

 TEL 024−922−5544


新子花ごよみ #54

 

夕涼み本を読む娘が一人居て  新子

 

 

 

 

記録的猛暑が続きます。

例年なら節電や省エネを訴えるメディアも

今年はこぞって

「躊躇なくエアコンをつけてください」

を連呼しています。

 

それでも、はや立秋を過ぎ、

ほんの少うし日も短くなってきました。

夕涼みにほっと息つける日が待たれますね。

 

さて掲句。

どこか懐かしい景です。

娘は一体なにを読んでいるのかしらん。

なんて娘をみやるまなざしもやわらかで

句からはふわっと打ち水のにおい。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


第23回川柳クレオ大会

「川柳クレオ」様から大会のご案内をいただきました。
みなさん、ふるってご参加ください。

******************************

第23回 川柳クレオ 川柳大会

●とき :平成30年10月7日(日)
受付 10時  投句締切 12時  披講 午後1時
●ところ:千里山コミュニティセンター
(阪急千里山駅 東口徒歩2分 /BiVi千里山3階)
●参加費:1,000円  欠席投句拝辞  特選句には図書カード進呈
事前申込み不要

兼題と選者(各題2句投句)
1 車    吉田利秋

2 甘え   秀川 純
3 旗    門前喜康

4 迷う   大海幸生

5 痛い   小林康浩

6 介護   石川憲政

7 魔法   黒川利一

8 まさか  平尾正人

9 砂    中野文擴

10 雑詠    徳永政二
11 雑詠    久保田半蔵門  

 

※雑詠は共選ではありません。

各選者に出句するので、

雑詠は計4句ご用意ください。

◆主催 川柳クレオ(講師 島村美津子)

 

※懇親会のご案内

 午後5時〜7時 会費3,000円

 当日、受付でお申し込みください。


新子花ごよみ #53


暑き日は暑き思いに膝を抱く  新子

 

 

 

 

この度の豪雨により被災された皆様に

心よりお見舞い申しあげます。


過日の大阪北部地震以来

大きな自然災害や異変が相次ぎ

各地の誰それの安否が気がかりです。

 

今後の猛暑の影響も懸念される中、

皆様どうぞ、くれぐれも、くれぐれも。

 

 

(『時実新子全句集』/大巧社)


青空書房店主の妻恋記

大阪の名物古書店「青空書房」の店主、さかもとけんいちさんが

亡くなられてちょうど1年になります。

享年93歳。

田辺聖子さんや筒井康隆さんとも親交があり、

定休日にシャッターへ張り出す

ユニークな手書きポスターも話題となって

テレビや新聞各紙に紹介されました。

そんなさかもとさんが妻和美さんに宛てて書き綴った

「家庭内通信」や絵手紙等が、このほど1冊の本になりました。

タイトルも『青空書房店主の妻恋記 けんいちから和美へ』。

発行はあざみエージェントさんです。

 

 

「いっぱいありそでないのが人生

 時間がありそでたりないのが人生

 暑いけど へこたれんと

 力を合せてのりきろう

 和美がほがらかであれば

 わが家は輝いている

 もうすこしかもしれないし

 まだまだ働かなアカンかも

 まあ いたわりあって行こう

 天神祭の日に

         けんいち」

 

ただいま出版を記念して、

大阪の京橋画廊では特別展を開催中。

http://gallery-kyou.jugem.jp/?eid=1429821

管理人ものぞかせてもらいました。

 

 

 

さかもとさんがのこされたことばも絵も

沁みるものばかり。

管理人も一度「青空書房」に伺ったことがあり

なんとも味のあるお店のたたずまいや

さかもとさんの柔和な笑顔を思い出しながら

ひとつひとつをゆっくり拝見してきました。

 

残念ながら特別展は明日7月3日までですが、

お近くの方はぜひどうぞ。

そして新刊もぜひ。


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プロフィール


芳賀博子
元「時実新子の月刊川柳大学」会員
初代管理人・望月こりんさんより引き継ぎ、2014年2月より
担当
http://haga575.com

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